清宮書房

人生の大半を過ごしたとも言える昭和を自分なりに再検討し、今を見てみようとする試みです。

世相に思う

 佐伯啓思著「現代民主主義の病理」他を読んでみて

佐伯啓思著「現代民主主義の病理」他を読んでみて はじめに 佐伯啓思氏の著作については一昨年、「日本の愛国心」を初めて読み通した次第です。40年弱前になりますが、私がアメリカ駐在時代にお世話になり、その後もお付き合いを頂いている元バンカーの方に紹介…

毛利和子「日中漂流・グローバル・パワーはどこへ向かうのか」を読んで

毛利和子「日中漂流・グローバル・パワーはどこへ向かうのか」を読んで はじめに 表題の日中漂流もさることながら、世界中で国家の漂流が始ったかの印象を私は持っているのですが、如何でしょうか。今回、取り上げた本書は11年前に毛利和子氏が著わした「日中関…

阿賀佐圭子「柳原白蓮 燁子の生涯」を読んで

阿賀佐圭子「柳原白蓮 燁子の生涯」を読んで はじめに 「東京や横浜や神戸等の開港地から始った文明開花の波は、東京の日比谷の一角にも確実に押し寄せていた。」(6頁) と印象深い冒頭から本書が始ります。 安政5年(1858)、江戸幕府が締結した日米修好通商…

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(下)

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(下) その3 アメリカニズムの終焉 戦後の冷戦体制のもと、圧倒的な経済と戦力でアメリカが自由世の守護者になったこと。もうひとつは大量生産と大量消費という「モノのデモクラシー」をいち早く実現…

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(上)

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(上) 今回の拙稿にあたって 毎回のことですが、何故このような投稿を続けているのか、とのご批判もあろうと思います。著名の方々の作品とはいえ、ただ、その文章を引用、紹介する意図は何なのか。まさし…

佐伯啓思著「反・民主主義論」他を読んで思うこと

佐伯啓思著「反・民主主義論」他を読んで思うこと 投稿にあたって 確かに異質とも言えるトランプ大統領の出現は日本を含め、今後の世界情勢に大きな影響を与えることは事実でしょう。加えるなら第一次世界大戦以降、連綿と続けてきたアメリカの歴史観にも影響…

三谷太一郎著「戦後民主主義をどう生きるか」、並びに五百旗頭真・中西寛編「高坂正尭と戦後日本」他を読んで思うこと

序章 日本を取り巻く現国際状況 イスラム国の出現、テロの続出に加え、英国のEU離脱国民投票結果で首相交替、イタリア憲法改正反対での首相交替、アメリカ次期大統領トランプの出現、フランス、ドイツの首脳交代の可能性等々と欧州、アメリカが近来にない激…

再び・堀田江理「1941 決意なき開戦」を読んで

再び・堀田江理著「1941 決意なき開戦」を読んで はじめに テレビ等で報道される街の人の主語が「私」でなく、「国民」としてとか、「都民」としてと、話されることに私は違和感を持っていると記していました。偶々、1991年に逝去された山本七平の「戦争責…

塚本哲也著「我が家の昭和平成史を」を読み終わって

はじめに 本書は毎日新聞のウイーン特派員、プラハ支局長、ボン支局長、論説委員等を経へた後、防衛大教授さらには東洋英和女学院大学学長をも勤められた塚本哲也氏による、家族の平成昭和の記録です。一巻、二巻からなる長編記録ですが氏の文章力のなせる技…

日本の愛国心

佐伯啓思著「日本の愛国心 序説的考察」等を読み通して はじめに 舛添知事の辞任に関する一連のテレビを中心とした報道に皆さんはどう思われますか。私は、またも始まったという実に不快な思いを禁じ得ません。 なにも舛添元知事を応援するということではあり…

安全保障関連法案の施行について思うこと

はじめに 昨年9月に成立した安全保障関連法は先月27日施行されました。今回はその関連法案に関し3月16日から18日に亘り、日本経済新聞の経済教室「動き出す安保関連法」に三人の学者が興味深い見解を載せています。今回はその紙面他を改めて紹介するとともに…

日米安全保障条約と戦後政治外交

原彬久著「戦後政治の証言者たち」、服部龍二「外交ドキュメント 歴史認識」他を読み通して・・【前編】 はじめに 民主党と維新の党が自公政権の交代を図るべく双方解党し、新しい政党を作るとのこと。その意図は分かるとしても果してどんな成果を望むのでし…

植民地時代から今日まで  エドウィン・S・ガウスタッド・・後編

「アメリカの政教分離」エドウィン・S・ガウスタッド 西直樹訳(みすず書房)を顧みて・・【後編】 第三章19世紀 静かなる法廷 信教の自由を与えられた宗教団体はこの世紀に劇的な繁栄を迎えます。例えばメゾジスとバプティストの教会数は会衆派と監督教会…

植民地時代から今日まで エドウィン・S・ガウスタッド著 大西直樹訳(みすず書房)を顧みて・・【前編】

はじめに 昨年9月、中国に関するある意味では衝撃的な二つの著書が発刊されました。ひとつは習近平の生い立ちと、凄まじい共産党内部の権力闘争の報告書でもある中澤克二著「習近平の権力闘争」です。もうひとつは中国の国家戦略の根底にある意図を見抜くこ…

「アメリカは忘れない・・記憶のなかのパールハーバー 」(法政大学出版局)       エミリー・S.ローゼンバーグ 訳飯倉章を再読して

はじめに 今年の10月、加藤典洋著「戦後入門」が発刊されました。新書版としては635頁に亘る異例の分厚いものです。中身の濃い、いわば研究書・論文の発表といったものです。何故に広島、長崎への原爆投下であったのか、更には現日本国憲法への視点・観点に…

再・昭和天皇について思う

再・昭和天皇について思う【後編】 2 章 山本七平「裕仁天皇の昭和史」 山本七平は三代目キリスト教徒でもあり、幸徳秋水の大逆事件に関わった姻戚を持つ人でもあります。「山本学」とも評される独自の世界を築いてきた方ですが、一時は保守反動の元凶とも…

再・昭和天皇について思う

再・昭和天皇について思う【前編】 はじめに 高齢になられた現天皇陛下並びに皇后陛下の御活動に国民が感謝し、そしてその賛意の空気なかで、生前退位がされる運びのようです。方や、私は今後の象徴としての天皇家のご活動はどのような状況になられるのか、…

筒井清忠「近衛文麿 教養主義的ポピュリストの悲劇」他への覚書 【後編】

著者の筒井清忠氏は1948年生まれ、京大文学部卒後、京大教授を経て現在は帝京大学教授で、日本近現代史・歴史社会学・日本文化論を専門とする学者です。 本書は、「近衛文麿の悲劇とは何か」から始まり、「誕生と学習院」、「一高と教養主義」、「英米本位の…

筒井清忠「近衛文麿」 教養主義的ポピュリストの悲劇(岩波現代文庫)他への覚書 【前編】

はじめに ここ数ヶ月に亘り安全保障関連法案の国会審議等、今日的問題について私の日頃の想いなどを吉野源三郎「君たちはどう生きるか」にも触れながら報告してきました。加えて、服部龍二氏の「広田弘毅・・悲劇の宰相の実像」、山本七平「裕仁天皇の昭和史…

改めて・ズビグニュー・ブレジンスキー著「ブッシュが壊したアメリカ」を思い起こして・・【後編】

第三章・「先代ブッシュの負の遺産」(湾岸戦争の勝利の立役者が残した禍根)では、先代ブッシュの任期はユーラシア大陸の激動期にぴったりと重なっていること。有能な外交官でもあり、又勇敢な戦士でもあったが、先見のないリーダーであったと分析していま…

ズビグニュー・ブレジンスキー著「ブッシュが壊したアメリカ」を思い起こして・・【前編】

はじめに 日本政治が右傾化し、自由と民主主義が壊れていくかのような巷の声もあり、中野晃一著「右傾化する日本政治」(岩波新書)を一読しました。著者は1970年生まれの比較政治学、日本政治、政治思想を専門とする学者との紹介ですが、私は初めて氏の著書に…

安全保障関連法案に関連して

前月の7月13、20日に「世相に想う」ということで、上記「安全保障関連法案に関連して」との駄文を載せました。現国会で本法案が審議されているからでしょうか、いつもより多くの感想を皆様から頂きました。 高校時代からの畏友による、理路整然とした6項に纏め…

安全保障関連法案に関連して【 後編 】

服部龍二著「広田弘毅」 我々が今なお、今次大戦を問い続け、否問い続けざるをえない中にあって、本書は何故に日本が太平洋戦争に突入し、そして敗戦に至ったのか。世論を作り出す、そのときの言論機関・マスコミはどうであったのか。そういった諸々の歴史経過…

安全保障関連法案に関連して【 前編 】

服部龍二著「広田弘毅・・悲劇の宰相の実像」(中公新書)他への雑感 今国会で大幅に会期を延長しているものの、安全保障関連保障法案の国会質疑は大きく変貌している地政学的変動とも言うべき現実を軽視した、またもや神学論争に陥ってきた感を否めません。…