清宮書房

人生の大半を過ごしたとも言える昭和を自分なりに再検討し、今を見てみようとする試みです。

世相に思う

中澤克二「習近平の暗号 2035」を読んで

中澤克二「習近平帝国の暗号 2035」を読んで 今回の投稿にあたり この6月12日、シンガポールでトランプ米国大統領と北朝鮮金正恩労働党委員長との間で「合意文書」が署名・発表されました。日本の報道は何か米国と北朝鮮の問題で、日本はあまり直接関係ない、…

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を省みて

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を省みて 再拙稿にあたって 昨年の12月に佐伯啓思氏の「西田幾多郞 無私の思想と日本人」、つづいて、今年(2018年)の5月に『「保守」のゆくえ』を取り上げ、私なりの感想などを交え投稿致しました。既にお伝えしてお…

佐伯啓思著『「保守」のゆくえ』を読んで思うこと

佐伯啓思著『「保守」のゆくえ』を読んで思うこと まえがき ここのところ、個人的事象につき、数本の投稿をしてきました。今回は本来の軌道に戻り、読書後の私の感想など記して参ります。 佐伯啓思氏の著作については、今まで「淸宮書房」で「日本の愛国心」、…

「戦艦大和の最後」の吉田満を巡って

「戦艦大和の最後」の吉田満を巡って・・その3 続編を記すにあたり 以下の投稿は3年前のものです。丁度、72歳の時点で、強引ではありましたが全ての仕事というか業務から身を引きました。私は三男坊ですが父親、二人の兄がそろって75歳で他界していたことも…

「戦艦大和の最後」の吉田満を巡って

「戦艦大和の最後」の吉田満を巡って・・その1 はじめに 前回になりますが、本年4月の投稿には少々個人的な過去の出来事、思いを載せました。右脚の怪我のためでしょうか、過去の自分を改めて考えるのもいいかなと思ったところです。今から3年程前の吉田満…

故・西部邁氏の自裁に思うこと

故・西部邁氏の自裁に思うこと まえがき この4月8日に投稿した「三年前を振り省みて」の中で、何故か急ぎ、西部邁氏の自裁直前の二作である「保守の遺言」、「保守の真髄」と「虚無の構造」を読み進め、近いうちに私なりの感想など纏めたい、と記しました。加えて、4月13…

三年前を振り省みて

三年前を振り省みて 「書棚から顧みる昭和」を自費出版してから4年が経ちました。現在、私は参加しておりませんが、隔月に開かれる某読書会用の原稿を、偶々、テニス仲間である元編集者の井関清経氏の目にとまり、一冊の本として纏めたら、との勧めがありまし…

筒井清忠著「戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道」を読んで  

筒井清忠著「戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道」を読んで 投稿にあたって 昨今の国会審議を見ていて、やりきれないと思うのは私だけでしょうか。本来,審議・討議すべき法案は何ら触れず、関連事項と称するものに莫大な時間を労し、時には審議も欠席放棄…

年末に思うこと

年末に思うこと 今年も残すところ一日となりました。今月の半ばにテニスのし過ぎでしょうか、右足の膝の内側が痛く、テニスはひかえています。接骨医の話では寒さの為、古傷によるとのこと。従い、時間にも余裕ができ、松本三之介氏著「近代日本の中国認識」(…

佐伯啓思「西田幾多郎・・無私の思想と日本人」、小林敏明「夏目漱石と西田幾多郎・・ 共鳴する明治の精神」を読んでみて

佐伯啓思「西田幾多郎・・無私の思想と日本人」、小林敏明「夏目漱石と西田幾多郎・・ 共鳴する明治の精神」を読んでみて はじめに 一作年前になりますが、毎年開かれる同期のゼミナリステンの集いが、晩秋の京都で行われました。夕暮れ時でしたが、西田幾多郎の…

 佐伯啓思著「現代民主主義の病理」他を読んでみて

佐伯啓思著「現代民主主義の病理」他を読んでみて はじめに 佐伯啓思氏の著作については一昨年、「日本の愛国心」を初めて読み通した次第です。40年弱前になりますが、私がアメリカ駐在時代にお世話になり、その後もお付き合いを頂いている元バンカーの方に紹介…

毛利和子「日中漂流・グローバル・パワーはどこへ向かうのか」を読んで

毛利和子「日中漂流・グローバル・パワーはどこへ向かうのか」を読んで はじめに 表題の日中漂流もさることながら、世界中で国家の漂流が始ったかの印象を私は持っているのですが、如何でしょうか。今回、取り上げた本書は11年前に毛利和子氏が著わした「日中関…

阿賀佐圭子「柳原白蓮 燁子の生涯」を読んで

阿賀佐圭子「柳原白蓮 燁子の生涯」を読んで はじめに 「東京や横浜や神戸等の開港地から始った文明開花の波は、東京の日比谷の一角にも確実に押し寄せていた。」(6頁) と印象深い冒頭から本書が始ります。 安政5年(1858)、江戸幕府が締結した日米修好通商…

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(下)

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(下) その3 アメリカニズムの終焉 戦後の冷戦体制のもと、圧倒的な経済と戦力でアメリカが自由世の守護者になったこと。もうひとつは大量生産と大量消費という「モノのデモクラシー」をいち早く実現…

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(上)

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(上) 今回の拙稿にあたって 毎回のことですが、何故このような投稿を続けているのか、とのご批判もあろうと思います。著名の方々の作品とはいえ、ただ、その文章を引用、紹介する意図は何なのか。まさし…

佐伯啓思著「反・民主主義論」他を読んで思うこと

佐伯啓思著「反・民主主義論」他を読んで思うこと 投稿にあたって 確かに異質とも言えるトランプ大統領の出現は日本を含め、今後の世界情勢に大きな影響を与えることは事実でしょう。加えるなら第一次世界大戦以降、連綿と続けてきたアメリカの歴史観にも影響…

再び・三谷太一郎著「戦後民主主義をどう生きるか」、並びに五百旗頭真・中西寛編「高坂正尭と戦後日本」他を読んで思うこと

再投稿にあたって 下記の投稿は丁度一年前の2016年12月19日に投稿したものですが、この一年の間でも、わが国を取り巻く状況変化、いわば地政学的な大きな変動が起きております。トランプ大統領の出現も然りで、何か突然に新大統領が登場したのではなく、アメ…

再び・堀田江理「1941 決意なき開戦」を読んで

再び・堀田江理著「1941 決意なき開戦」を読んで はじめに テレビ等で報道される街の人の主語が「私」でなく、「国民」としてとか、「都民」としてと、話されることに私は違和感を持っていると記していました。偶々、1991年に逝去された山本七平の「戦争責…

塚本哲也著「我が家の昭和平成史を」を読み終わって

はじめに 本書は毎日新聞のウイーン特派員、プラハ支局長、ボン支局長、論説委員等を経へた後、防衛大教授さらには東洋英和女学院大学学長をも勤められた塚本哲也氏による、家族の平成昭和の記録です。一巻、二巻からなる長編記録ですが氏の文章力のなせる技…

日本の愛国心

佐伯啓思著「日本の愛国心 序説的考察」等を読み通して はじめに 舛添知事の辞任に関する一連のテレビを中心とした報道に皆さんはどう思われますか。私は、またも始まったという実に不快な思いを禁じ得ません。 なにも舛添元知事を応援するということではあり…

再・安全保障関連法案の施行について思うこと

再投稿にあたって この拙稿は2年前のものですが、マスメデイアに関する私の雑感をも記しております。修正を加えず、そのまま再投稿致しました。故西部邁氏に私はやや抵抗感がありますが、日本について、氏が「メデイアは立法・行政・司法に続く第四権力でなく、世…

再び・日米安全保障条約と戦後政治外交

原彬久著「戦後政治の証言者たち」、服部龍二「外交ドキュメント 歴史認識」他を読み通して・・【前編】 再投稿にあたって 本投稿は2年前のものですが、現国会審議の現状を考える上で何か参考になるのでは、と勝手に思っています。ご存知のように著者である原…

植民地時代から今日まで  エドウィン・S・ガウスタッド・・後編

「アメリカの政教分離」エドウィン・S・ガウスタッド 西直樹訳(みすず書房)を顧みて・・【後編】 第三章19世紀 静かなる法廷 信教の自由を与えられた宗教団体はこの世紀に劇的な繁栄を迎えます。例えばメゾジスとバプティストの教会数は会衆派と監督教会…

再び ・植民地時代から今日まで エドウィン・S・ガウスタッド著 大西直樹訳(みすず書房)を顧みて・・【前編】

再投稿に際して 本投稿は丁度二年前のもので、前編と後編(1月21日)からなっております。大きく変貌していくアメリカ。それはトランプ大統領が出現したことにより大きく変貌したのではなく、アメリカが唱えてきたグローバルリズムの、更には少数を大事にしな…

「アメリカは忘れない・・記憶のなかのパールハーバー 」(法政大学出版局)       エミリー・S.ローゼンバーグ 訳飯倉章を再読して

はじめに 今年の10月、加藤典洋著「戦後入門」が発刊されました。新書版としては635頁に亘る異例の分厚いものです。中身の濃い、いわば研究書・論文の発表といったものです。何故に広島、長崎への原爆投下であったのか、更には現日本国憲法への視点・観点に…

再・昭和天皇について思う

再・昭和天皇について思う【後編】 2 章 山本七平「裕仁天皇の昭和史」 山本七平は三代目キリスト教徒でもあり、幸徳秋水の大逆事件に関わった姻戚を持つ人でもあります。「山本学」とも評される独自の世界を築いてきた方ですが、一時は保守反動の元凶とも…

再・昭和天皇について思う

再・昭和天皇について思う【前編】 はじめに 高齢になられた現天皇陛下並びに皇后陛下の御活動に国民が感謝し、そしてその賛意の空気なかで、生前退位がされる運びのようです。方や、私は今後の象徴としての天皇家のご活動はどのような状況になられるのか、…

筒井清忠「近衛文麿 教養主義的ポピュリストの悲劇」他への覚書 【後編】

著者の筒井清忠氏は1948年生まれ、京大文学部卒後、京大教授を経て現在は帝京大学教授で、日本近現代史・歴史社会学・日本文化論を専門とする学者です。 本書は、「近衛文麿の悲劇とは何か」から始まり、「誕生と学習院」、「一高と教養主義」、「英米本位の…

筒井清忠「近衛文麿」 教養主義的ポピュリストの悲劇(岩波現代文庫)他への覚書 【前編】

はじめに ここ数ヶ月に亘り安全保障関連法案の国会審議等、今日的問題について私の日頃の想いなどを吉野源三郎「君たちはどう生きるか」にも触れながら報告してきました。加えて、服部龍二氏の「広田弘毅・・悲劇の宰相の実像」、山本七平「裕仁天皇の昭和史…

改めて・ズビグニュー・ブレジンスキー著「ブッシュが壊したアメリカ」を思い起こして・・【後編】

第三章・「先代ブッシュの負の遺産」(湾岸戦争の勝利の立役者が残した禍根)では、先代ブッシュの任期はユーラシア大陸の激動期にぴったりと重なっていること。有能な外交官でもあり、又勇敢な戦士でもあったが、先見のないリーダーであったと分析していま…