清宮書房

人生の大半を過ごしたとも言える昭和を自分なりに再検討し、今を見てみようとする試みです。

池田信夫「丸山眞男と戦後日本の国体」を読んで  

池田信夫「丸山眞男と戦後日本の国体」を読んで 序章 日本の政治は、なぜここまで壊れてしまったのだろうか。国会が圧倒的多数与党と無力な野党に二極化し、政策論争がなくなってスキャンダルばかり論じられる昨今、そう思う人は少なくないだろう。自由民主…

渡辺浩平著「吉田満 戦艦大和 学徒兵の五十六年」を読んで

渡辺浩平著「吉田満 戦艦大和 学徒兵の五十六年」を読んで 序章 その1 吉田満の生涯 先月の23日、掲題の著作の概略的なことを紹介しましたが、改めて、吉田満の生涯を著者の記述に沿い、以下記して参ります。 吉田満は1923年(大正12 年)1月6日、父吉田茂、…

渡辺浩平著「吉田満 戦艦大和 学徒兵の五十六年」  

渡辺浩平著「吉田満 戦艦大和 学徒兵の五十六年」 その1 吉田満が56年の生涯を終えられてから、ほぼ40年の年月が流れました。吉田満の名前を挙げても、どういう人なの分らない方が現在では多くなっているかもしれません。私が拙著「書棚から顧みる昭和」の「…

小島政二郎著「小説 永井荷風」に遭遇して

小島政二郎著「小説 永井荷風」に遭遇して はじめに 東京都武蔵野市吉祥寺に所用があり、その帰り道、とある古本屋を覗きました。神田以外ではほとんど姿を消した、かっての風情を残す古本屋で見つけたのが掲題の本書です。 私は文学について素養がないことも…

中澤克二「習近平の暗号 2035」を読んで

中澤克二「習近平帝国の暗号 2035」を読んで 今回の投稿にあたり この6月12日、シンガポールでトランプ米国大統領と北朝鮮金正恩労働党委員長との間で「合意文書」が署名・発表されました。日本の報道は何か米国と北朝鮮の問題で、日本はあまり直接関係ない、…

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を省みて

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を省みて 再拙稿にあたって 昨年の12月に佐伯啓思氏の「西田幾多郞 無私の思想と日本人」、つづいて、今年(2018年)の5月に『「保守」のゆくえ』を取り上げ、私なりの感想などを交え投稿致しました。既にお伝えしてお…

佐伯啓思著『「保守」のゆくえ』を読んで思うこと

佐伯啓思著『「保守」のゆくえ』を読んで思うこと まえがき ここのところ、個人的事象につき、数本の投稿をしてきました。今回は本来の軌道に戻り、読書後の私の感想など記して参ります。 佐伯啓思氏の著作については、今まで「淸宮書房」で「日本の愛国心」、…

「戦艦大和の最後」の吉田満を巡って

「戦艦大和の最後」の吉田満を巡って・・その3 続編を記すにあたり 以下の投稿は3年前のものです。丁度、72歳の時点で、強引ではありましたが全ての仕事というか業務から身を引きました。私は三男坊ですが父親、二人の兄がそろって75歳で他界していたことも…

「戦艦大和の最後」の吉田満を巡って

「戦艦大和の最後」の吉田満を巡って・・その1 はじめに 前回になりますが、本年4月の投稿には少々個人的な過去の出来事、思いを載せました。右脚の怪我のためでしょうか、過去の自分を改めて考えるのもいいかなと思ったところです。今から3年程前の吉田満…

故・西部邁氏の自裁に思うこと

故・西部邁氏の自裁に思うこと まえがき この4月8日に投稿した「三年前を振り省みて」の中で、何故か急ぎ、西部邁氏の自裁直前の二作である「保守の遺言」、「保守の真髄」と「虚無の構造」を読み進め、近いうちに私なりの感想など纏めたい、と記しました。加えて、4月13…

三年前を振り省みて

三年前を振り省みて 「書棚から顧みる昭和」を自費出版してから4年が経ちました。現在、私は参加しておりませんが、隔月に開かれる某読書会用の原稿を、偶々、テニス仲間である元編集者の井関清経氏の目にとまり、一冊の本として纏めたら、との勧めがありまし…

筒井清忠著「戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道」を読んで  

筒井清忠著「戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道」を読んで 投稿にあたって 昨今の国会審議を見ていて、やりきれないと思うのは私だけでしょうか。本来,審議・討議すべき法案は何ら触れず、関連事項と称するものに莫大な時間を労し、時には審議も欠席放棄…

年末に思うこと

年末に思うこと 今年も残すところ一日となりました。今月の半ばにテニスのし過ぎでしょうか、右足の膝の内側が痛く、テニスはひかえています。接骨医の話では寒さの為、古傷によるとのこと。従い、時間にも余裕ができ、松本三之介氏著「近代日本の中国認識」(…

佐伯啓思「西田幾多郎・・無私の思想と日本人」、小林敏明「夏目漱石と西田幾多郎・・ 共鳴する明治の精神」を読んでみて

佐伯啓思「西田幾多郎・・無私の思想と日本人」、小林敏明「夏目漱石と西田幾多郎・・ 共鳴する明治の精神」を読んでみて はじめに 一作年前になりますが、毎年開かれる同期のゼミナリステンの集いが、晩秋の京都で行われました。夕暮れ時でしたが、西田幾多郎の…

 佐伯啓思著「現代民主主義の病理」他を読んでみて

佐伯啓思著「現代民主主義の病理」他を読んでみて はじめに 佐伯啓思氏の著作については一昨年、「日本の愛国心」を初めて読み通した次第です。40年弱前になりますが、私がアメリカ駐在時代にお世話になり、その後もお付き合いを頂いている元バンカーの方に紹介…

再・昭和天皇について思う【前編】 はじめに 高齢になられた現天皇陛下並びに皇后陛下の御活動に国民が感謝し、そしてその賛意の空気なかで、生前退位がされる運びのようです。方や、私は今後の象徴としての天皇家のご活動はどのような状況になられるのか、…

清宮書房 人生の大半を過ごしたとも言える昭和を自分なりに再検討し、今を見てみようとする試みです。 201511-23 再・昭和天皇について思う 世相に思う 自費出版「書棚から顧みる昭和」のその後 編集 再・昭和天皇について思う【後編】 2 章 山本七平「裕仁天…

十川信介著「夏目漱石」を読んでみて

十川信介著「夏目漱石」を読んでみて はじめに 私の書棚に「三木清全集19巻」、並びに「夏目漱石全集17巻」及び「月報が」鎮座しております。夏目漱石全集の第一巻・我が輩は猫である、は昭和40年12月9日発刊、そして19巻・索引 は昭和51年4月9日の発刊です。毎…

毛利和子「日中漂流・グローバル・パワーはどこへ向かうのか」を読んで

毛利和子「日中漂流・グローバル・パワーはどこへ向かうのか」を読んで はじめに 表題の日中漂流もさることながら、世界中で国家の漂流が始ったかの印象を私は持っているのですが、如何でしょうか。今回、取り上げた本書は11年前に毛利和子氏が著わした「日中関…

阿賀佐圭子「柳原白蓮 燁子の生涯」を読んで

阿賀佐圭子「柳原白蓮 燁子の生涯」を読んで はじめに 「東京や横浜や神戸等の開港地から始った文明開花の波は、東京の日比谷の一角にも確実に押し寄せていた。」(6頁) と印象深い冒頭から本書が始ります。 安政5年(1858)、江戸幕府が締結した日米修好通商…

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(下)

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(下) その3 アメリカニズムの終焉 戦後の冷戦体制のもと、圧倒的な経済と戦力でアメリカが自由世の守護者になったこと。もうひとつは大量生産と大量消費という「モノのデモクラシー」をいち早く実現…

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(上)

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(上) 今回の拙稿にあたって 毎回のことですが、何故このような投稿を続けているのか、とのご批判もあろうと思います。著名の方々の作品とはいえ、ただ、その文章を引用、紹介する意図は何なのか。まさし…

佐伯啓思著「反・民主主義論」他を読んで思うこと

佐伯啓思著「反・民主主義論」他を読んで思うこと 投稿にあたって 確かに異質とも言えるトランプ大統領の出現は日本を含め、今後の世界情勢に大きな影響を与えることは事実でしょう。加えるなら第一次世界大戦以降、連綿と続けてきたアメリカの歴史観にも影響…

再び・三谷太一郎著「戦後民主主義をどう生きるか」、並びに五百旗頭真・中西寛編「高坂正尭と戦後日本」他を読んで思うこと

再投稿にあたって 下記の投稿は丁度一年前の2016年12月19日に投稿したものですが、この一年の間でも、わが国を取り巻く状況変化、いわば地政学的な大きな変動が起きております。トランプ大統領の出現も然りで、何か突然に新大統領が登場したのではなく、アメ…

再度・堀田江理「1941 決意なき開戦」を読んで

再度・堀田江理著「1941 決意なき開戦」を読んで はじめに テレビ等で報道される街の人の主語が「私」でなく、「国民」としてとか、「都民」としてと、話されることに私は違和感を持っていると記していました。偶々、1991年に逝去された山本七平の「戦争責…

塚本哲也著「我が家の昭和平成史を」を読み終わって

はじめに 本書は毎日新聞のウイーン特派員、プラハ支局長、ボン支局長、論説委員等を経た後、防衛大教授さらには東洋英和女学院大学学長をも勤められた塚本哲也氏による、家族の平成昭和の記録です。一巻、二巻からなる長編記録ですが、その内容による力のな…

日本の愛国心

佐伯啓思著「日本の愛国心 序説的考察」等を読み通して はじめに 舛添知事の辞任に関する一連のテレビを中心とした報道に皆さんはどう思われますか。私は、またも始まったという実に不快な思いを禁じ得ません。 なにも舛添元知事を応援するということではあり…

再・安全保障関連法案の施行について思うこと

再投稿にあたって この拙稿は2年前のものですが、マスメデイアに関する私の雑感をも記しております。修正を加えず、そのまま再投稿致しました。故西部邁氏に私はやや抵抗感がありますが、日本について、氏が「メデイアは立法・行政・司法に続く第四権力でなく、世…

再び・日米安全保障条約と戦後政治外交

原彬久著「戦後政治の証言者たち」、服部龍二「外交ドキュメント 歴史認識」他を読み通して・・【後編】 第三章 保守政治家たちとその証言 著者は情報開示と政治学について極めて重要な指摘を、下記のように記します。 情報開示が進めば進むほど、政治学とい…

再び・日米安全保障条約と戦後政治外交

原彬久著「戦後政治の証言者たち」、服部龍二「外交ドキュメント 歴史認識」他を読み通して・・【前編】 再投稿にあたって 本投稿は2年前のものですが、現国会審議の現状を考える上で何か参考になるのでは、と勝手に思っています。ご存知のように著者である原…