清宮書房

人生の大半を過ごしたとも言える昭和を自分なりに再検討し、今を見てみようとする試みです。

渡辺浩平著「吉田満 戦艦大和 学徒兵の五十六年」を読んで

再投稿にあたって 弊投稿は4年ほど前、2018年いわゆる終戦記念日の8月15日に「ブログ 清宮書房」に投稿したものです。加えて、昨年(2021年)に補足をしました。吉田満に関しては、他にも度々、投稿しております。 尚、吉田満「戦艦大和ノ最後」は単なる戦記ものでは…

渡辺浩平著「吉田満 戦艦大和 学徒兵の五十六年」  

再・再投稿にあたって 数日前の読売新聞で、吉田満の未発表の原稿が発見されたとのことが記事になっております。私に大きな影響を与えた吉田満に関しては既に7回に亘ると投稿してきました。私としては今回の記事は大きな驚きではないのですが、ご参考までに…

小島政二郎著「小説 永井荷風」に遭遇して

小島政二郎著「小説 永井荷風」に遭遇して 再々投稿に当たって 元投稿は、4年前の2018年9月14日の原稿で、2021年3月1日に補筆しました。今日のメデイアの由々しき現状に鑑み、改めて再投稿する次第です。 昨今の所謂テレビ等の報道番組と称される中で、「故安…

中澤克二「習近平の暗号 2035」を読んで

中澤克二「習近平帝国の暗号 2035」を読んで 今回の投稿にあたり この6月12日、シンガポールでトランプ米国大統領と北朝鮮金正恩労働党委員長との間で「合意文書」が署名・発表されました。日本の報道は何か米国と北朝鮮の問題で、日本はあまり直接関係ない、…

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を省みて

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を省みて 再拙稿にあたって 昨年の12月に佐伯啓思氏の「西田幾多郞 無私の思想と日本人」、つづいて、今年(2018年)の5月に『「保守」のゆくえ』を取り上げ、私なりの感想などを交え投稿致しました。既にお伝えしてお…

佐伯啓思著『「保守」のゆくえ』を読んで思うこと

佐伯啓思著『「保守」のゆくえ』を読んで思うこと 再投稿にあたって 今年(2022年)1月27日に佐伯啓思「死に方論」、2月10日には吉田満の「戦艦大和」に関する旧投稿に若干の補足をし、再投稿しました。その中には関連の深い三島由紀夫、にも触れて参りました…

「戦艦大和の最後」の吉田満を巡って

「戦艦大和の最後」の吉田満を巡って・・その3 続編を記すにあたり 以下の投稿は3年前のものです。丁度、72歳の時点で、強引ではありましたが全ての仕事というか業務から身を引きました。私は三男坊ですが父親、二人の兄がそろって75歳で他界していたことも…

「戦艦大和の最後」の吉田満を巡って

「戦艦大和の最後」の吉田満を巡って・・その1 はじめに 前回になりますが、本年4月の投稿には少々個人的な過去の出来事、思いを載せました。右脚の怪我のためでしょうか、過去の自分を改めて考えるのもいいかなと思ったところです。今から3年程前の吉田満…

故・西部邁氏の自裁に思うこと

故・西部邁氏の自裁に思うこと まえがき この4月8日に投稿した「三年前を振り省みて」の中で、何故か急ぎ、西部邁氏の自裁直前の二作である「保守の遺言」、「保守の真髄」と「虚無の構造」を読み進め、近いうちに私なりの感想など纏めたい、と記しました。加えて、4月13…

三年前を振り省みて

三年前を振り省みて 「書棚から顧みる昭和」を自費出版してから4年が経ちました。現在、私は参加しておりませんが、隔月に開かれる某読書会用の原稿を、偶々、テニス仲間である元編集者の井関清経氏の目にとまり、一冊の本として纏めたら、との勧めがありまし…

再び、筒井清忠著「戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道」を読んで  

改めて、再投稿 74歳で現役を全て退き、40数年続けていたゴルフは時間が掛るため、テニスに転向しました。(その時点ではオフィシャル・ハンデイは7でした。)、テニスの経験はほとんどありませんが、自宅から歩いて数分のテニスクラブに入会し、午前中はテ…

年末に思うこと

年末に思うこと 今年も残すところ一日となりました。今月の半ばにテニスのし過ぎでしょうか、右足の膝の内側が痛く、テニスはひかえています。接骨医の話では寒さの為、古傷によるとのこと。従い、時間にも余裕ができ、松本三之介氏著「近代日本の中国認識」(…

佐伯啓思「西田幾多郎・・無私の思想と日本人」、小林敏明「夏目漱石と西田幾多郎・・ 共鳴する明治の精神」を読んでみて

急遽入院と手術に際して ここのところ体調も良く、先月11月4日に「コロナ禍にあって思うこと」を投稿しました。ただ、10月末の定期健康診断の結果、心電図に変化があり、綜合病院を紹介され、24日、再検査の結果、狭心症の疑いとのこと、25日、思いも掛けぬ…

 佐伯啓思著「現代民主主義の病理」他を読んでみて

佐伯啓思著「現代民主主義の病理」他を読んでみて はじめに 佐伯啓思氏の著作については一昨年、「日本の愛国心」を初めて読み通した次第です。40年弱前になりますが、私がアメリカ駐在時代にお世話になり、その後もお付き合いを頂いている元バンカーの方に紹介…

再・昭和天皇について思う【前編】 はじめに 高齢になられた現天皇陛下並びに皇后陛下の御活動に国民が感謝し、そしてその賛意の空気なかで、生前退位がされる運びのようです。方や、私は今後の象徴としての天皇家のご活動はどのような状況になられるのか、…

清宮書房 人生の大半を過ごしたとも言える昭和を自分なりに再検討し、今を見てみようとする試みです。 201511-23 再・昭和天皇について思う 世相に思う 自費出版「書棚から顧みる昭和」のその後 編集 再・昭和天皇について思う【後編】 2 章 山本七平「裕仁天…

十川信介著「夏目漱石他他を読んでみて

十川信介著「夏目漱石」他を読んでみて 再・再再投稿にあたって 佐伯啓思著「西田幾多郎・・無私の精神と日本人」並びに小林敏明「夏目漱石と西田幾多郞・・共鳴する明治の精神」を読んでみて、と題した3年前の投稿に、現コロナ禍にあって私の心境をも加え、20…

毛利和子「日中漂流・グローバル・パワーはどこへ向かうのか」を読んで

毛利和子「日中漂流・グローバル・パワーはどこへ向かうのか」を読んで はじめに 表題の日中漂流もさることながら、世界中で国家の漂流が始ったかの印象を私は持っているのですが、如何でしょうか。今回、取り上げた本書は11年前に毛利和子氏が著わした「日中関…

阿賀佐圭子「柳原白蓮 燁子の生涯」を読んで

再投稿にあたって 二年前の2017年6月12日に投稿したのですが、ここに来て何故か拙稿66編の注目記事の5番目に上がって来ました。その理由は何かあるのでしょうが、阿賀佐圭子氏が作家のみならず歴史に造詣が深く、白蓮の生きた時代背景を巧みに本書に描いてい…

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(下)

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(下) その3 アメリカニズムの終焉 戦後の冷戦体制のもと、圧倒的な経済と戦力でアメリカが自由世の守護者になったこと。もうひとつは大量生産と大量消費という「モノのデモクラシー」をいち早く実現…

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(上)

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(上) 今回の拙稿にあたって 毎回のことですが、何故このような投稿を続けているのか、とのご批判もあろうと思います。著名の方々の作品とはいえ、ただ、その文章を引用、紹介する意図は何なのか。まさし…

佐伯啓思著「反・民主主義論」他を読んで思うこと

佐伯啓思著「反・民主主義論」他を読んで思うこと 投稿にあたって 確かに異質とも言えるトランプ大統領の出現は日本を含め、今後の世界情勢に大きな影響を与えることは事実でしょう。加えるなら第一次世界大戦以降、連綿と続けてきたアメリカの歴史観にも影響…

再び・三谷太一郎著「戦後民主主義をどう生きるか」、並びに五百旗頭真・中西寛編「高坂正尭と戦後日本」他を読んで思うこと

再々の投稿に際して 本投稿は2016年12月19日、続いて翌年の12月19日に改めて、「再投稿にあたって」を加え、追加投稿を致したものです。戦後74年になるにも関わらず、我々はその戦後を未だ脱却できないのでは、という感じを私は持っております。 本投稿は2012…

再度・堀田江理「1941 決意なき開戦」を読んで

再々投稿に当たって 下記投稿は2016年の9月に投稿し、改めて一年前の2021年9月に、若干の補足をし、再投稿したものです。2015年3月に始めた弊ブログ「清宮書房」への投稿は105件となりますが、何故かここに来て、下記投稿・堀田江理「『1941 決意なき開戦』を読…

塚本哲也著「我が家の昭和平成史を」を読み終わって

はじめに 本書は毎日新聞のウイーン特派員、プラハ支局長、ボン支局長、論説委員等を経た後、防衛大教授さらには東洋英和女学院大学学長をも勤められた塚本哲也氏による、家族の平成昭和の記録です。一巻、二巻からなる長編記録ですが、その内容による力のな…

佐伯啓思著「日本の愛国心 序説的考察」等を読み通して

佐伯啓思著「日本の愛国心 序説的考察」等を読み通して 再投稿に際して 東京経済大学・名誉教授の色川大吉氏が月刊誌、今年「選択6月号」の巻頭インタビューに【コロナ禍という公害の教訓】として、「今回のコロン禍によるパンデミックと地球温暖化は、根底でつ…

再・安全保障関連法案の施行について思うこと

再投稿にあたって この拙稿は2年前のものですが、マスメデイアに関する私の雑感をも記しております。修正を加えず、そのまま再投稿致しました。故西部邁氏に私はやや抵抗感がありますが、日本について、氏が「メデイアは立法・行政・司法に続く第四権力でなく、世…

再び・日米安全保障条約と戦後政治外交

原彬久著「戦後政治の証言者たち」、服部龍二「外交ドキュメント 歴史認識」他を読み通して・・【後編】 第三章 保守政治家たちとその証言 著者は情報開示と政治学について極めて重要な指摘を、下記のように記します。 情報開示が進めば進むほど、政治学とい…

再び・日米安全保障条約と戦後政治外交

原彬久著「戦後政治の証言者たち」、服部龍二「外交ドキュメント 歴史認識」他を読み通して・・【前編】 再投稿にあたって 本投稿は2年前のものですが、現国会審議の現状を考える上で何か参考になるのでは、と勝手に思っています。ご存知のように著者である原…

植民地時代から今日まで  エドウィン・S・ガウスタッド・・後編

「アメリカの政教分離」エドウィン・S・ガウスタッド 西直樹訳(みすず書房)を顧みて・・【後編】 第三章19世紀 静かなる法廷 信教の自由を与えられた宗教団体はこの世紀に劇的な繁栄を迎えます。例えばメゾジスとバプティストの教会数は会衆派と監督教会…