清宮書房

人生の大半を過ごしたとも言える昭和を自分なりに再検討し、今を見てみようとする試みです。

自費出版「書棚から顧みる昭和」のその後

故・西部邁氏の自裁に思うこと

故・西部邁氏の自裁に思うこと まえがき この4月8日に投稿した「三年前を振り省みて」の中で、何故か急ぎ、西部邁氏の自裁直前の二作である「保守の遺言」、「保守の真髄」と「虚無の構造」を読み進め、近いうちに私なりの感想など纏めたい、と記しました。加えて、4月13…

三年前を振り省みて

三年前を振り省みて 「書棚から顧みる昭和」を自費出版してから4年が経ちました。現在、私は参加しておりませんが、隔月に開かれる某読書会用の原稿を、偶々、テニス仲間である元編集者の井関清経氏の目にとまり、一冊の本として纏めたら、との勧めがありまし…

再び、筒井清忠著「戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道」を読んで  

改めて、再投稿 74歳で現役を全て退き、40数年続けていたゴルフは時間が掛るため、テニスに転向しました。(その時点ではオフィシャル・ハンデイは7でした。)、テニスの経験はほとんどありませんが、自宅から歩いて数分のテニスクラブに入会し、午前中はテ…

年末に思うこと

年末に思うこと 今年も残すところ一日となりました。今月の半ばにテニスのし過ぎでしょうか、右足の膝の内側が痛く、テニスはひかえています。接骨医の話では寒さの為、古傷によるとのこと。従い、時間にも余裕ができ、松本三之介氏著「近代日本の中国認識」(…

佐伯啓思「西田幾多郎・・無私の思想と日本人」、小林敏明「夏目漱石と西田幾多郎・・ 共鳴する明治の精神」を読んでみて

急遽入院と手術に際して ここのところ体調も良く、先月11月4日に「コロナ禍にあって思うこと」を投稿しました。ただ、10月末の定期健康診断の結果、心電図に変化があり、綜合病院を紹介され、24日、再検査の結果、狭心症の疑いとのこと、25日、思いも掛けぬ…

 佐伯啓思著「現代民主主義の病理」他を読んでみて

佐伯啓思著「現代民主主義の病理」他を読んでみて はじめに 佐伯啓思氏の著作については一昨年、「日本の愛国心」を初めて読み通した次第です。40年弱前になりますが、私がアメリカ駐在時代にお世話になり、その後もお付き合いを頂いている元バンカーの方に紹介…

十川信介著「夏目漱石他他を読んでみて

十川信介著「夏目漱石」他を読んでみて 再・再再投稿にあたって 佐伯啓思著「西田幾多郎・・無私の精神と日本人」並びに小林敏明「夏目漱石と西田幾多郞・・共鳴する明治の精神」を読んでみて、と題した3年前の投稿に、現コロナ禍にあって私の心境をも加え、20…

毛利和子「日中漂流・グローバル・パワーはどこへ向かうのか」を読んで

毛利和子「日中漂流・グローバル・パワーはどこへ向かうのか」を読んで はじめに 表題の日中漂流もさることながら、世界中で国家の漂流が始ったかの印象を私は持っているのですが、如何でしょうか。今回、取り上げた本書は11年前に毛利和子氏が著わした「日中関…

阿賀佐圭子「柳原白蓮 燁子の生涯」を読んで

再投稿にあたって 二年前の2017年6月12日に投稿したのですが、ここに来て何故か拙稿66編の注目記事の5番目に上がって来ました。その理由は何かあるのでしょうが、阿賀佐圭子氏が作家のみならず歴史に造詣が深く、白蓮の生きた時代背景を巧みに本書に描いてい…

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(下)

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(下) その3 アメリカニズムの終焉 戦後の冷戦体制のもと、圧倒的な経済と戦力でアメリカが自由世の守護者になったこと。もうひとつは大量生産と大量消費という「モノのデモクラシー」をいち早く実現…

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(上)

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(上) 今回の拙稿にあたって 毎回のことですが、何故このような投稿を続けているのか、とのご批判もあろうと思います。著名の方々の作品とはいえ、ただ、その文章を引用、紹介する意図は何なのか。まさし…

佐伯啓思著「反・民主主義論」他を読んで思うこと

佐伯啓思著「反・民主主義論」他を読んで思うこと 投稿にあたって 確かに異質とも言えるトランプ大統領の出現は日本を含め、今後の世界情勢に大きな影響を与えることは事実でしょう。加えるなら第一次世界大戦以降、連綿と続けてきたアメリカの歴史観にも影響…

再び・三谷太一郎著「戦後民主主義をどう生きるか」、並びに五百旗頭真・中西寛編「高坂正尭と戦後日本」他を読んで思うこと

再々の投稿に際して 本投稿は2016年12月19日、続いて翌年の12月19日に改めて、「再投稿にあたって」を加え、追加投稿を致したものです。戦後74年になるにも関わらず、我々はその戦後を未だ脱却できないのでは、という感じを私は持っております。 本投稿は2012…

再度・堀田江理「1941 決意なき開戦」を読んで

再々投稿に当たって 下記投稿は2016年の9月に投稿し、改めて一年前の2021年9月に、若干の補足をし、再投稿したものです。2015年3月に始めた弊ブログ「清宮書房」への投稿は105件となりますが、何故かここに来て、下記投稿・堀田江理「『1941 決意なき開戦』を読…

塚本哲也著「我が家の昭和平成史を」を読み終わって

はじめに 本書は毎日新聞のウイーン特派員、プラハ支局長、ボン支局長、論説委員等を経た後、防衛大教授さらには東洋英和女学院大学学長をも勤められた塚本哲也氏による、家族の平成昭和の記録です。一巻、二巻からなる長編記録ですが、その内容による力のな…

佐伯啓思著「日本の愛国心 序説的考察」等を読み通して

佐伯啓思著「日本の愛国心 序説的考察」等を読み通して 再投稿に際して 東京経済大学・名誉教授の色川大吉氏が月刊誌、今年「選択6月号」の巻頭インタビューに【コロナ禍という公害の教訓】として、「今回のコロン禍によるパンデミックと地球温暖化は、根底でつ…

再・安全保障関連法案の施行について思うこと

再投稿にあたって この拙稿は2年前のものですが、マスメデイアに関する私の雑感をも記しております。修正を加えず、そのまま再投稿致しました。故西部邁氏に私はやや抵抗感がありますが、日本について、氏が「メデイアは立法・行政・司法に続く第四権力でなく、世…

再び・日米安全保障条約と戦後政治外交

原彬久著「戦後政治の証言者たち」、服部龍二「外交ドキュメント 歴史認識」他を読み通して・・【前編】 再投稿にあたって 本投稿は2年前のものですが、現国会審議の現状を考える上で何か参考になるのでは、と勝手に思っています。ご存知のように著者である原…

植民地時代から今日まで  エドウィン・S・ガウスタッド・・後編

「アメリカの政教分離」エドウィン・S・ガウスタッド 西直樹訳(みすず書房)を顧みて・・【後編】 第三章19世紀 静かなる法廷 信教の自由を与えられた宗教団体はこの世紀に劇的な繁栄を迎えます。例えばメゾジスとバプティストの教会数は会衆派と監督教会…

再び ・植民地時代から今日まで エドウィン・S・ガウスタッド著 大西直樹訳(みすず書房)を顧みて・・【前編】

再投稿に際して 本投稿は丁度二年前のもので、前編と後編(1月21日)からなっております。大きく変貌していくアメリカ。それはトランプ大統領が出現したことにより大きく変貌したのではなく、アメリカが唱えてきたグローバルリズムの、更には少数を大事にしな…

「アメリカは忘れない・・記憶のなかのパールハーバー 」(法政大学出版局)       エミリー・S.ローゼンバーグ 訳飯倉章を再読して

再投稿に当たって 今日は12月8日、いわゆる太平洋戦争の発端となった真珠湾攻撃の日に当たるます。アメリカでは、どのように「パールハーバー」を捉えたでしょうか。 2001年9月11日のWTCビル倒壊等のアメリカ同時多発テロが起こり、「リメンバー パールハーバ…

再・昭和天皇について思う

再・昭和天皇について思う【後編】 2 章 山本七平「裕仁天皇の昭和史」 山本七平は三代目キリスト教徒でもあり、幸徳秋水の大逆事件に関わった姻戚を持つ人でもあります。「山本学」とも評される独自の世界を築いてきた方ですが、一時は保守反動の元凶とも…

再・昭和天皇について思う

再・昭和天皇について思う【前編】 はじめに 高齢になられた現天皇陛下並びに皇后陛下の御活動に国民が感謝し、そしてその賛意の空気なかで、生前退位がされる運びのようです。方や、私は今後の象徴としての天皇家のご活動はどのような状況になられるのか、…

筒井清忠「近衛文麿 教養主義的ポピュリストの悲劇」他への覚書 【後編】

(注)2021年5月4日再投稿の後編です 著者の筒井清忠氏は1948年生まれ、京大文学部卒後、京大教授を経て現在は帝京大学教授で、日本近現代史・歴史社会学・日本文化論を専門とする学者です。 本書は、「近衛文麿の悲劇とは何か」から始まり、「誕生と…

筒井清忠「近衛文麿」 教養主義的ポピュリストの悲劇(岩波現代文庫)他への覚書 【前編】

再投稿にあたって このコロナ禍による自粛生活もあるのでしょうか、ここのところ過去の投稿を見直し、時には補足し、再投稿しております。今回は補筆をしておりませんが、下記投稿もそのひとつです。残念ながら、今となってはその東京オリンピックの中止の決…

改めて・ズビグニュー・ブレジンスキー著「ブッシュが壊したアメリカ」を思い起こして・・【後編】

再投稿、その上に長い駄文で恐縮しますが、今日性の課題も含んでいると、思います。改めて一覧頂ければ幸いです。 2021年9月22日 第三章・「先代ブッシュの負の遺産」(湾岸戦争の勝利の立役者が残した禍根)では、先代ブッシュの任期はユーラシア大…

ズビグニュー・ブレジンスキー著「ブッシュが壊したアメリカ」を思い起こして・・【前編】

再投稿 コロナ禍の緊急事態宣言下、9月29日の自民党総裁選挙。そして衆議院議員選挙と続く中、私は改めて5年前の2015年8月の投稿を読み返しました。手前味噌ですが、古さを感じなく、改めて再投稿する意味もあるかなと思った次第です。後編は同年9月14日です…

安全保障関連法案に関連して

前月の7月13、20日に「世相に想う」ということで、上記「安全保障関連法案に関連して」との駄文を載せました。現国会で本法案が審議されているからでしょうか、いつもより多くの感想を皆様から頂きました。 高校時代からの畏友による、理路整然とした6項に纏め…

安全保障関連法案に関連して【 後編 】

服部龍二著「広田弘毅」 我々が今なお、今次大戦を問い続け、否問い続けざるをえない中にあって、本書は何故に日本が太平洋戦争に突入し、そして敗戦に至ったのか。世論を作り出す、そのときの言論機関・マスコミはどうであったのか。そういった諸々の歴史経過…

安全保障関連法案に関連して【 前編 】

服部龍二著「広田弘毅・・悲劇の宰相の実像」(中公新書)他への雑感 今国会で大幅に会期を延長しているものの、安全保障関連保障法案の国会質疑は大きく変貌している地政学的変動とも言うべき現実を軽視した、またもや神学論争に陥ってきた感を否めません。…