清宮書房

人生の大半を過ごしたとも言える昭和を自分なりに再検討し、今を見てみようとする試みです。

世相に思う

石井知章・及川淳子編「六四と一九八九 習近平帝国とどう向き合うのか」(白水社)他を読んで  

石井知章・及川淳子編「六四と一九八九 習近平帝国とどう向き合うのか」(白水社)他を読んで 再投稿にあたって(2021年3月24日) 元原稿は昨年4月7日、安倍元総理が緊急事態宣言を発出した翌日の4月8日にコロナ禍にも言及し、投稿したところです。続いて、本年…

加藤陽子著「天皇と軍隊の近代史」(勁草書房)を読んで思うこと

加藤陽子著「天皇と軍隊の近代史」(勁草書房)を読んで思うこと 再投稿 今から20年前の9月11日、4機の旅客機がハイジャックされ、二機はニューヨークの世界貿易センターのツインタワーに突っ込み爆破。一機は国防省本庁舎の西側正面に突入、残りの一機は乗客…

再び・佐伯啓思「西田幾多郎・・無私の思想と日本人」、小林敏明「夏目漱石と西田幾多郎・・ 共鳴する明治の精神」を読んでみて  

再び・佐伯啓思「西田幾多郎・・無私の思想と日本人」、小林敏明「夏目漱石と西田幾多郎・・ 共鳴する明治の精神」を読んでみて 再々の投稿にあたり 夏目漱石に関わる投稿は2017年12月8日元投稿を含め、5本ほどになります。佐伯啓思氏の諸著作、また吉田満に関…

新年に際し

新年に際し 昨年は傷めた右脚も完治し、テニス漬けの日々に戻りました。ストロークのスピードは以前より一段と速くなった、との仲間の評でもあります。一方、右手の痺れがでましたが、フェイスブックの友人の薦め、更には紹介された整体師に通い、だいぶ改善し…

松富かおり著「エルドアンのトルコ」(中央公論社)を読んでみて

松富かおり著「エルドアンのトルコ」(中央公論社)を読んで はじめに 本書が発刊された2019年7月25日の三日後、偶々、日経新聞がトルコによるロシア製の地対空ミサイルシステム「S400」の搬入に対し、米、トルコは亀裂を広げるな、との社説を載せました。ト…

ブログ『淸宮書房」について

ブログ「淸宮書房」について その1 淸宮書房の発端と今 今から4年ほど前になりますが、数ヶ月後に75歳になる2015年3月15日にブログ「淸宮書房」を立ち上げました。その意図は、2014年に拙著「書棚から顧みる昭和」を出版した後も、引き続き読み込んだ著書について、…

ここ一ヶ月を省みて

ここ数ヶ月、右手のしびれの為、パソコンが打てず、ブログの更新が滞っております。ただ、お陰さまでアクセスは32,000に近づいております。 方や、拙稿の注目記事と称される、一番から五番の順位が最近、大きく変わってきております。私としても不思議に思うと…

近況のこと

近況のこと ここのところ、体調が今ひとつで、読まなければならない本が溜まる一方です。取り寄せた楊継縄著「文化大革命五十年」、並びにフランク・デイケーター著「毛沢東の大飢饉」も大著で読み応えはあるものの、まだ読み終わっておりません。尚、「文化大革命…

佐伯啓思著「『アメリカ二ズム』の終焉』の投稿を省みて

佐伯啓思著「『アメリカニズム』の終焉」の投稿を省みて 再々の拙稿にあたって 佐伯氏の著作については、今から4年ほど前になりますが、私がニューヨーク駐在時代(1978年~1984年)にお世話になった信託銀行の支店長(帰国後は副社長)に「日本の愛国心」を…

ノートルダム寺院に思うこと、他

ノートルダム寺院に思うこと、他 ノートルダム寺院の火災 日本時間の4月16日未明、ノートルダム大聖堂の火災について、日経新聞のコラム「春秋」に、1950年7月の京都の金閣寺が放火で焼け落ちたことに触れながら、私には印象深い、以下の文章が載っておりま…

三ヶ月が経って

三ヶ月が経って はじめに ここのところ投稿のペースが落ち、月一回になっております。その落ちた要因は体調の為か、読書量が落ちたこと。加えて、取り上げた著書の内容が濃く、関連著書、更には、かって読み込んだ著書にも立ち返る必要があったこと、にもよる…

ここ数ヶ月を省みて

ここ数ヶ月を省みて はじめに 「反日・反米・親北」で名前を売った盧武鉉元大統領の側近であった、現文在寅大統領の登場で、日韓の関係は最悪の状況になりました。私は予想はしていたとは言え、日本は極めて難しい状況に置かれている、考えております。韓国の…

牧野邦昭「経済学者たちの日米開戦」を読んで

牧野邦昭著「経済学者たちの日米開戦」を読んで 再投稿に際して 元投稿は2019年1月に投稿したものです。その前年の11月、私より数歳上の畏友・堀口正夫氏より、掲題の本書を紹介頂きました。と共に、氏が慶大の3年次の時、本書に登場する竹村忠雄と出会い、そ…

この3年8ヶ月を省みて

この3年8ヶ月を省みて このブログ「淸宮書房」を立ち上げ、この11月で3年有余が経過しました。初めの投稿は2015年の3月で、澤田克己著「韓国『反日』の真相」を取り上げ、私なりの感想などを併せ記したものです。その後、加筆をも入れますと、今日までに…

池田信夫「丸山眞男と戦後日本の国体」を読んで  

再々投稿に際して 本投稿は4年程前の投稿に、2021年3月、更に2022年9月に新たな事象を加え補足をしたものです。コロナ禍の影響とは直接関係ないと思うのですが、4年ほど前に始めた弊ブログへのアクセスがここ数年に急増し、お陰様で62,000台半ばとなりました…

渡辺浩平著「吉田満 戦艦大和 学徒兵の五十六年」  

再・再投稿にあたって 数日前の読売新聞で、吉田満の未発表の原稿が発見されたとのことが記事になっております。私に大きな影響を与えた吉田満に関しては既に7回に亘ると投稿してきました。私としては今回の記事は大きな驚きではないのですが、ご参考までに…

中澤克二「習近平の暗号 2035」を読んで

中澤克二「習近平帝国の暗号 2035」を読んで 今回の投稿にあたり この6月12日、シンガポールでトランプ米国大統領と北朝鮮金正恩労働党委員長との間で「合意文書」が署名・発表されました。日本の報道は何か米国と北朝鮮の問題で、日本はあまり直接関係ない、…

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を省みて

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を省みて 再拙稿にあたって 昨年の12月に佐伯啓思氏の「西田幾多郞 無私の思想と日本人」、つづいて、今年(2018年)の5月に『「保守」のゆくえ』を取り上げ、私なりの感想などを交え投稿致しました。既にお伝えしてお…

佐伯啓思著『「保守」のゆくえ』を読んで思うこと

佐伯啓思著『「保守」のゆくえ』を読んで思うこと 再投稿にあたって 今年(2022年)1月27日に佐伯啓思「死に方論」、2月10日には吉田満の「戦艦大和」に関する旧投稿に若干の補足をし、再投稿しました。その中には関連の深い三島由紀夫、にも触れて参りました…

「戦艦大和の最後」の吉田満を巡って

「戦艦大和の最後」の吉田満を巡って・・その3 続編を記すにあたり 以下の投稿は3年前のものです。丁度、72歳の時点で、強引ではありましたが全ての仕事というか業務から身を引きました。私は三男坊ですが父親、二人の兄がそろって75歳で他界していたことも…

「戦艦大和の最後」の吉田満を巡って

「戦艦大和の最後」の吉田満を巡って・・その1 はじめに 前回になりますが、本年4月の投稿には少々個人的な過去の出来事、思いを載せました。右脚の怪我のためでしょうか、過去の自分を改めて考えるのもいいかなと思ったところです。今から3年程前の吉田満…

故・西部邁氏の自裁に思うこと

故・西部邁氏の自裁に思うこと まえがき この4月8日に投稿した「三年前を振り省みて」の中で、何故か急ぎ、西部邁氏の自裁直前の二作である「保守の遺言」、「保守の真髄」と「虚無の構造」を読み進め、近いうちに私なりの感想など纏めたい、と記しました。加えて、4月13…

三年前を振り省みて

三年前を振り省みて 「書棚から顧みる昭和」を自費出版してから4年が経ちました。現在、私は参加しておりませんが、隔月に開かれる某読書会用の原稿を、偶々、テニス仲間である元編集者の井関清経氏の目にとまり、一冊の本として纏めたら、との勧めがありまし…

再び、筒井清忠著「戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道」を読んで  

改めて、再投稿 74歳で現役を全て退き、40数年続けていたゴルフは時間が掛るため、テニスに転向しました。(その時点ではオフィシャル・ハンデイは7でした。)、テニスの経験はほとんどありませんが、自宅から歩いて数分のテニスクラブに入会し、午前中はテ…

年末に思うこと

年末に思うこと 今年も残すところ一日となりました。今月の半ばにテニスのし過ぎでしょうか、右足の膝の内側が痛く、テニスはひかえています。接骨医の話では寒さの為、古傷によるとのこと。従い、時間にも余裕ができ、松本三之介氏著「近代日本の中国認識」(…

佐伯啓思「西田幾多郎・・無私の思想と日本人」、小林敏明「夏目漱石と西田幾多郎・・ 共鳴する明治の精神」を読んでみて

急遽入院と手術に際して ここのところ体調も良く、先月11月4日に「コロナ禍にあって思うこと」を投稿しました。ただ、10月末の定期健康診断の結果、心電図に変化があり、綜合病院を紹介され、24日、再検査の結果、狭心症の疑いとのこと、25日、思いも掛けぬ…

 佐伯啓思著「現代民主主義の病理」他を読んでみて

佐伯啓思著「現代民主主義の病理」他を読んでみて はじめに 佐伯啓思氏の著作については一昨年、「日本の愛国心」を初めて読み通した次第です。40年弱前になりますが、私がアメリカ駐在時代にお世話になり、その後もお付き合いを頂いている元バンカーの方に紹介…

毛利和子「日中漂流・グローバル・パワーはどこへ向かうのか」を読んで

毛利和子「日中漂流・グローバル・パワーはどこへ向かうのか」を読んで はじめに 表題の日中漂流もさることながら、世界中で国家の漂流が始ったかの印象を私は持っているのですが、如何でしょうか。今回、取り上げた本書は11年前に毛利和子氏が著わした「日中関…

阿賀佐圭子「柳原白蓮 燁子の生涯」を読んで

再投稿にあたって 二年前の2017年6月12日に投稿したのですが、ここに来て何故か拙稿66編の注目記事の5番目に上がって来ました。その理由は何かあるのでしょうが、阿賀佐圭子氏が作家のみならず歴史に造詣が深く、白蓮の生きた時代背景を巧みに本書に描いてい…

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(下)

佐伯啓思著『「アメリカニズム」の終焉』を読み終わって・・(下) その3 アメリカニズムの終焉 戦後の冷戦体制のもと、圧倒的な経済と戦力でアメリカが自由世の守護者になったこと。もうひとつは大量生産と大量消費という「モノのデモクラシー」をいち早く実現…